PrinceとMichael Jackson ~2人の天才~

この2人についてはいつか記事を書きたいと思っていた。

大尊敬している偉大な先輩アーティスト達。

そう、PrinceとMichael Jacksonについて。

2人はよく比較される。

確かに同じ音楽家だが2人の才能は全く違う。

私も比較はあんまり好きじゃないが、この天才2人についてはどうしても対比する場面が出てしまう。

2人の生い立ちや人生については調べれば多少は理解できると思うので、音楽的・表現的な部分のみを書いていく。

優劣をつけるのではなく、私が長年研究してきた2人の特徴だと思っていただきたい。

天才に敬意を払い、厳かな雰囲気でペンを取ろうと思う。

Michaelの歌唱

Michaelの声は時に美しくまろやかであり、時に攻撃的でもある。

Thriller期までは特に声の伸びが素晴らしく、個人的に大好きな時期だ。

BAD期以降徐々にガナリを強める発声の曲が多くなるが、後期でもSmileやButterflyなどとても美しい声の曲がある。

ダンスと歌はエンターティナーとしては最高の組み合わせだが、後期のライブではほとんどリップシンクになってしまったので諸刃の剣でもある。

わがままな要望だが個人的にMichaelのダンスよりも歌が好きなので生歌のライブをもっと聞きたかった。

初めてMichaelを聞いたアルバムはDangerousで、最初は「声のか細い人だなあ」と思っていたが何回か聞くにつれてすぐに「なんて音楽と声がマッチしていて気持ちいいのだろう」と感じるようになった。

お風呂の脱衣所からラジカセでRemember the TimeとHeal the Worldを流しながら入浴した時の記憶は今でも残っている。

その時にとても幸せな気持ちになり、「この人は音楽の天才なんだ」と強く感じた。

Michaelの歌声には人を惹きつけるパワーがある。

バックの演奏が左から右に流れる直線で、Michaelの歌はその直線をぐるぐる回りながら螺旋状に進む柔らかい線のように感じていた。

Princeの歌唱

Princeの声は両性的でありとてもテクニカルだ。

Princeの歌をちゃんと歌える人がどのぐらい世の中にいるだろうか。

エッジの聞いたガナリ声、ファンキーな低音、艶やかなファルセット、超高音域のホイッスル(おそらく)。

Princeの声は少しとっつきにくく、私も最初は「なんか変な声だなあ」と思っていた。

だが今では最も尊敬するボーカリストはPrinceだ。

彼ほど多彩な声を使い分ける人はおそらく少ないだろう。

特にPrinceの凄さが分かりやすく、お気に入りはThe Beautiful OnesとLa, La, La Means I Love You(カバー)だ。

ロックもバラードもファンクも全てこなせる素晴らしい声を持っている。

ホイッスルの音域でガナリながらシャウトするのはしびれる。

Princeはどこかのインタビューで「ライブで音楽ができなきゃ意味がない」のようなことを言っていた記憶があり、彼はほとんどのライブをハイクオリティな生歌・生演奏でこなしている。

とてつもない天才だ。


Michaelの音楽力

基本的にはMichaelの楽曲は時代ごとに最先端のトラックメーカーがメインで作っている。

もちろんMichaelも楽曲制作全てには関わっているはずだが、中にはMichaelメインで作曲している曲もありBillie JeanやSmooth Criminalが有名だろう。

Michaelには独特なメロディーや歌いまわしの癖が多用されており、それは単調さにもなり得るが個性や魅力でもある。

Michaelはほとんど楽器が演奏できなかったようだが、かわりにビートボックスで作曲をしていた。

Beat Itのデモ音源等からもその様子が確認できMichaelの音楽力の高さがうかがえる。

ただし個人的にはMichaelがもっと楽器を触っていたらさらに多様な楽曲ができたのではと思っている。

In the ClosetはMichael作曲の中で一番のお気に入りだ。

Princeの音楽力

Princeは様々な楽器を演奏で各楽器技術も天才的だった。

ほぼ全ての楽曲をPrinceが作曲していると言っていい。

ギターは言うまでもないが、父がジャズピアニストの影響もありピアノの腕もとても素晴らしい。

ドラムやベース、シンセを演奏しワンマン録音もこなしてしまう。

一言で言うとPrinceは音楽の大天才だ。

面白いコードを使っている曲が多数あり作曲能力の高さにも驚いてしまう。

彼の魂には文字通りソウルフルなパワーが漲っている。

Princeのレコーディングの様子を記録した書籍が販売されているので興味のある方は読んでみてはどうだろうか。

その本の中でPrinceの仕事・音楽中毒ぶりが見られ畏敬の念を抱かずにはいられない。

Princeは「君は楽譜が読める人なんだね」みたいなことを誰かに言っていた。

彼は理論よりも感覚や情熱で音楽をするタイプなのかもしれない、たぶんそうだと思う。

最近一番好きな曲はStarfish and Coffeeだ。

まとめ

2人は同世代のこともあり、はっきりとは言わなかっただろうがおそらくお互いを意識していたと思う。

完璧な人間なんてこの世にはいないので、彼らも我々と同じで欠点もたくさんあっただろう。

ただ2人に共通して言えるのは音楽の才能がずば抜けて突出していたことだ。

どちらにも違う魅力があり、時によって好みや感じ方が変わったりもするのだが、私の人生で強く心を揺さぶったのは彼らだ。

今も彼らが生きていたらどんなにワクワクする音楽を私達に与えてくれただろう。

しかし今生きている音楽家は彼らから学び、彼らを越えるために努力をしなければならない。

2人の天才は奇しくも同じ時代に生まれそして別々に旅立っていった。

私はもらってばかりの受け身だったが、彼らと共に生きた時代を誇りに思い、そして彼らに感謝したい。

本当にありがとうPrince、Michael。